世界ナンバーワンのリアリティ・オーディション番組『アメリカズ・ゴット・タレント(ATG)』2023(シーズン18)の第6週に登場した、日本人チームの『MOS』。
一次予選で見事に合格し、続く二次の書類審査(ジャッジ・カット)も通過して準決勝に進みました。
彼女たちはいったいどのようなパフォーマンスをするチームなのでしょうか?
若い頃からダンス大好きでアクロバット・パフォーマンスにも長年携わった管理人が、独自の視点で彼女たちのパフォーマンスの魅力を整理整頓してお伝えしたいと思います。
そのルーツ・メンバー・魅力を徹底的に解説します!

『MOS』って何の略?「ネオ吹奏楽」って何?
『MOS』は2017年に結成された、女性4人(発足当時は6人)の、ガールズ・ブラスバンドです。
しかしそのパフォーマンスは単なる吹奏楽ではなく、ブラスバンドとダンスを本格的に融合させた新しいジャンルのパフォーマンスであり、別名「ネオ吹奏楽」を標榜しています。
MOSという名前は『Music Omotenashi Sinters』の頭文字をとっています。
「おもてなし」という言葉が英語で入っているため、「世界に出ていく日本のグループ」としての活躍を目指していることは間違いないでしょう。

結成以来2022年まではSNSを中心に活動を展開し、X(旧Twitter)やTikTokなどの総フォロワー数は100万人を達成しています。
2023年からは活動をリアルの場にも広げ、オリジナルの楽曲もどんどん発表しています。
今回のAGT出場もその活動の飛び切り大きなワンステップなのでしょうね!

AGT一次予選では、楽曲『Bang Bang』を使って「ネオ吹奏楽」の魅力を世界に向けて発信し、見事予選通過を勝ち取りました!
MOSメンバーのプロフィール紹介
ではここからMOSの4人、Erna(アーナ)、Ami(アミ)、Lotta(ロッタ)、Miyu(ミユ)のプロフィールです。
・・・最初にお断りしておきますが、年齢は非公開とのことですので!
AGT1次予選のステージでマイクを持ったLottaは、ハイディに年齢を聞かれて「Secret. Top Secret.」と答えて会場の笑いをとっていました。
Erna(アーナ):リーダーでトロンボーン担当、今使っているのはYAMAHAのYSL895EN。
チーム内の担当カラーは緑。
北海道旭川市出身で、現在旭川の観光大使を務めています。
身長170cm、6月30日生まれのA型。
友達の勧めで小学校3年生からトロンボーンを始めたそうです。
始めた頃は吹けないと廊下に立たされたことが辛かったそうですが、トロンボーンのやさしい音色が好きだということです。
趣味はサウナで、特技はたこ焼き作り!得意料理はピーマンの肉詰めとのこと。
MOSに入ったきっかけはオーディション、MOSのナンバーで好きな曲は『ブラックホール』ということです。

Ami(アミ):アルトサックス担当、今使っているのはYAMAHAの875EXゴールドプレート。
チーム内の担当カラーは青。
埼玉県越谷市出身、身長156cmで1月2日生まれのO型。
3歳からピアノを習い始め、12歳からサックスをやり始めたとのことです。
サックスの形と音の魅力が好きだということですが、歯並びを2年間かけて治したときに、アンブシュア(楽器を吹くときの口の形およびその機能)を変えなければならなかったときは辛かったそうです。
趣味はお茶・コーヒーを飲む時間と配信、特技は手指関節が柔らかいので、指が手首や手の甲に着くこと。
得意料理はホイコーローとカレー。
MOSに入ったきっかけはオーディション、MOSの曲で好きなのは『YURAGI』『hajime』『Mate G』の3曲。

Lotta(ロッタ):テナーサックス担当、今使っているのはYAMAHAのYTS82Z。
チーム内の担当カラーは赤。
山梨県韮崎市出身、身長148cmで6月25日生まれのB型。
12歳から部活でサックスをやり始めたとのことです。
毎日辛いけど、テナーサックスはメロディもハモリも低音もやるオールマイティなパートなので、頭を使って演奏する感じが好きだそうです。
趣味は芸術鑑賞、特技はルービックキューブ。
得意料理はなし!(潔し。)
MOSに入ったきっかけはオーディション、MOSの曲で好きなのは『NEW STEP』ということです。

Miyu(ミユ):トランペット担当、今使っているのはYAMAHAのYTR83Zアトリエチューン。
チーム内の担当カラーはピンク。
長野出身。身長154.5cm、6月7日生まれのA型。
母親がピアノの先生で、3歳からピアノを始め、9歳からトランペットを始めたとこのことです。
1年かけてアンブシュアを修正したときには思ったように吹けなくて辛かったそうですが、トランペットの音色や、できたときの達成感が好きだそうです。
趣味はアニメ鑑賞とサウナ、特技は誰よりも食事を楽しむこと。
得意料理はオムライス。
MOSに入ったきっかけは代役で出演して、その後正式にメンバーに。
MOSの曲で好きなのは『NEW STEP』ということです。


さてこの4人のプロフィールを調べていたら共通する点がいくつかありましたので、ここにまとめて書き出しますね。
①部活は吹奏楽部(当たり前ですね)
②いま欲しいペットは犬(さすがチームパフォーマーですね)
③ダンスはMOSに入ってから始めた(それまで楽器ひとすじだったんですね)
④いちばん難しい曲は『Mate G』(みなさん「これ一択!」という感じの一致でした)
・・・あと確定情報ではないんですが、全員音楽大学出身ではないかということです。
大まかに言うと、「プロデューサーさんが募集したMOSのオーディションを通過し、楽器一筋の女子たちがダンスも並行してトレーニングを積んで、現在のパフォーマンス『ネオ吹奏楽』がただいま絶賛進化中!」・・・という感じでしょうか。
アメリカズ・ゴットタレント(AGT)出場の概要
2023年、MOSは世界的に有名なオーディション・リアリティ番組『アメリカズ・ゴットタレント(season18)』に挑戦しました。
以下にその概要を見出しとしてまとめておきます。
2023年7月11日(火)1次予選出場:楽曲『バンバン』
〃 9月 5日(火)準決勝出場:楽曲『サクス』
〃 9月 6日(水)決勝通過者発表
AGTの1次予選、MOSへの審査員の反応は?
さてMOSの1次予選のパフォーマンスを、AGTの審査員はどのように評価したのでしょうか?
結果は、全員満足の「4YES」でした!

では審査員の講評を確認しておきましょう。
*****以下講評*****
〇ハウイ・マンデル
「楽器の演奏がまず良かったし、それは独創的だった。
衣装・振り付け・選曲も気に入ったよ。驚いた。良かった!」
〇ソフィア・ベルガラ
「楽器を吹き始めたらクレイジーなミュージシャンになるんだもの、魔法みたい!
ファンタスティックだったよ。素晴らしい!」
〇ハイディ・クルム
「ガールグループの器楽演奏はめったにないから、それを聴けて楽しかった。
すごくよいオーディションだったと思う!」

※ここでハウイが、苦笑いするサイモンに「なに笑ってるの?」と尋ねます。
〇サイモン
「いやー、夢にだって思わなかったよ。
ガールグループが、しかもハハ・・・あの曲を楽器で演奏するなんて。
そりゃもうユニークだよ!全部をとおしてすべてが完璧な演奏ではなかったけど、君たち4人はめっちゃカッコいい!気に入ったよ!」
*****講評ここまで*****
まずはガールグループが「管楽器演奏」でAGTに勝負に来たことへの驚きが聞こえてきましたね!
・・・そしてハウイとサイモンは選曲についても賞賛していました。
これはこの曲のジャンルがクラシックでもジャズでもなくPOPSであり、しかもその中でもとびきりインパクトの強い『バンバン』であることを指していると思われます。

つまりAGT審査員のMOSとのファーストコンタクトは、「ガールグループ ✖ 管楽器 ✖ POPS=これまでにない!」・・・という「新鮮さ」への印象が強かったのだと思います。
振り付けに言及していたのはハウイだけでしたが、観客の反応を見ますと、フォーメーションを崩してソロになったとき、そしてフォーメーションに戻ったときに大きな歓声が上がっていたように思います。
もちろん演奏によるところは大きいのでしょうが、演奏を引き立てるダンスアクションが効いているのは間違いありません。
一次予選で『バンバン』という選曲はどうだったの?
『バンバン』は2014年の楽曲です。
イギリスのシンガーソングライターのジェシーJ、アメリカのポップス歌手アリアナ・グランデ、同じくアメリカのラッパー、ニッキー・ミナージュの3人のコラボによって歌われています。

歌詞の内容は非常に刺激的なものなので、ここでは詳しく触れません(笑)。
・・・ま、ヤンチャな女子たちの歌ってことで(汗)。
歌い出しがジェシーのソロなんですが、彼女の高音ハスキーボイスにまずハートが鷲掴みにされます。
続く2番ではアリアナのおしゃれでちょっとイタズラっぽい声に自分はドキッとしますね。
3番でニッキーの魔法のようなラップがたたみかけてくると、もう「どうすればいいの?」っていう気持ちになります(笑笑)。

3人のソロの間を埋めるリフレインはユニゾンで来たり一部コーラスで来たりを繰り返すので、フレーズが強烈に頭に残るまさに「名曲」だと思います。
この素晴らしい曲をMOSはきっちり管楽器仕様にし、その魅力を伝えられたのではないでしょうか。
歌いだしのジェシーJの声をアルトサックスでカバーしたのは見事にハマってました!
続けてトランペットがフラッターをビリビリ効かせると、まるで誰かがエッジボイスで歌っているような「原曲にはない良さ」がガツンと来ます。
『バンバン』自体が3人のボーカル+バックコーラスの曲なので、4人の楽器がリードボーカルだったりハモリだったりバックコーラスだったり・・・と役割を変えながらサポートし合うような構成に馴染みやすいという面もあったのかもしれません。
・・・それにしてもやはりAmiの言うとおりサックスは音に魅力のある楽器で、ハスキーボイスの持つ魅力とよく似ているなぁと感じました。
ソロパート2回目の高音では、お客さんがまさに「熱狂」してましたね!
原曲に存在したヤンチャ女子の魅力を、日本のガールグループが手段を変え「器楽の音の魅力」に改造したその発想に、審査員のサイモンも「完全に自分のディフェンスを抜かれた!」と苦笑いせざるを得なかったのではないでしょうか?

審査員のコメントを見ても観客の反応を見ても、選曲の『バンバン』は大成功だったと言えるでしょう!
MOSの準決勝、審査員の反応は?
さて2023年9月5日(日本時間では6日)に行われたAGT2023準決勝ですが、結果から言いますと残念ながら準決勝で敗退でした。しかし彼女たちは輝いていました!

では各審査員の講評を聞いてみましょう。
・・・演奏が終わると司会のテリークルーズが、ひとりだけスタンディングオベーションしていたサイモンに向かって声をかけます。「サイモン、これ好きだね!?」
〇サイモン・コーウェル
「まさに好きだよ、テリー。私はこのアイデアが大好きだ。
というか、こんなの初めて見たよ。そして化学反応(相乗効果?)が、また楽しいオリジナリティを生み出すんだ。
このような楽器の場合、完璧を期すことは非常に難しい。
でもそんなことはどうでもいいんだ。このアートは本当に好きだ!」
〇ハウイ・マンデル
「彼女たちはブラスを外して演技していたね。
でももし何か観にいくとしたら、もっとブラスセクションが大きい方がいい(しっかりした方がいい?)と思う。
(ハウイの発言に観客のブーイング)彼ら(観客?)が何を言っているか聞こえないけど、僕と同じ意見だと思うよ。」

〇ハイディ・クルム
「まず最初に、またここに来てこの素晴らしい演技をしてくれて”arigatou”(ありがとう)。
普通、ミュージシャンは後ろに立っていて、気に留めないものだけど、あなたたちは演奏している間、みんな同時に踊り、演奏している。
それはすごいことだよ!その衣装についても”Yes”だよ!」
〇ソフィア・ベルガラ
とてもかわいくて良かった。最高の時間にできたんじゃないかな?
ステージを動き回りながら楽器を操るのは、とても難しい。
でもあなたはそれを優雅にこなし、それを愛し、素晴らしいショーを見せてくれたよ!」

以上が審査員の講評です。・・・ハウイの意見は厳しかったですね!
準決勝で使われた楽曲は、2015年にリリースされた『サクス』です。
基調はソウル&ファンクといった感じで、ラップから始まるノリのいい楽曲です。
この曲を歌っていたのはイギリスのシンガー&ラッパーのFleur East(フラー・イースト)で、彼女自身もリアリティ・オーディション番組である『XファクターUK』でチャンスをつかんだアーティストのひとりです。

MOSの4人のコスチュームは、今回つなぎではなくデニムを基調としているんですが、ワタシ的には非常に良かったと思います。
ライトブルーのデニムとゴールドの楽器のコントラストが鮮やかで、準決勝の派手な舞台にぜんぜん負けてません。
・・・というより、むしろ「画面づくり」のうえでのトータルコーディネイトが上手くいってるんじゃないかなと感じました!
審査員のハイディもコスチュームに「Yes!」と言ってましたね。
MOSの準決勝、ネットユーザーの反応は?
次にネット上でもMOSのパフォーマンスについては、その困難さを乗り越えたオリジナリティーを称賛する声が多くありましたので、その一部を抜粋してお伝えしますね。
@rest****ed1599:楽しかった!とてもユニークで他とは違います!
アメリカがそれらに投票してくれることを願っています。幸運をお祈りしています!!
@halwar****gen6960:MOS は、まさにプロとして訓練を受けた本物のミュージシャンです。
実際、彼らはプレイとダンスを同時に行っており、そのエネルギーと幸福感は広がります。
@adamp****on-james1633:彼らは真鍮をクールにしました😎
彼らは今アーティストとコラボレーションする必要があります👍🏻😀
@am****kassis:彼らはラスベガスにいるはずです!
素晴らしい曲の選択、衣装、そしてそれらの楽器を演奏して踊るなんて想像もできません、彼らがどのように呼吸するのか想像できません!すばらしい
@kristi****ce4735:これはすっごくカッコいいですよ!!
この若い女性たちは才能があり、運動能力があり、可愛くて楽しいです。
ハウイーの意見は間違っていました。

@7****rai854:ファッショニスタブラスバンド
@ecate****panait8566:モスとプトリが決勝に進むことになる。
それは私の希望です。
@marka****son4812:彼らは、リゾ、ブルーノ・マーズ、ファレル・ウィリアムスなどとコラボレーションすることもできます…
さらにはJ-Pop、K-Popグループとコラボレーションすることもできます

抜粋はここまでにしますが、肯定的な意見の一方で「デニムが良くなかったんじゃないか」とか「曲はもっと派手なのがよかったのでは」「歌があった方がいい」という意見もありました。
また「ハウイはもう引退して」という声もちらほらありましたね。
・・・そんな声も耳に入れたうえで、私もネットユーザーの1人として、ちょっとだけ感想をお話しておきます。
準決勝の結果と選曲、そしてハウイのコメントについて
今回のAGT準決勝、私の第一印象は「かわいい!」「かっこいい!」「こんなバンド他にあるか?」というものでした。
つなぎでステージに立つ姿の印象が強かったので、4人の個性を生かしつつ統一性もあるデニムのファッション、そしていきなり2ランクほどグレードアップしたコレオグラフにびっくりしました。
その一方で、楽曲のリズムがちょっと単調な感じがしました。
原曲を知らずにこの吹奏アレンジを聴くと、ストレートに「マーチ」のように聴こえる部分が多いように感じてしまったんですね。
しかし原曲を聴いてみると、ぜんぜんファンキーな感じなんです。

・・・ただこの『サクス』、実際にはドラムがメインの曲でサックスは間奏にしか出てきませんし、フラー・イーストの歌唱の魅力も「リズム」がメインであって「声の響き」を聴かせるタイプではないように思います。
ですから一次予選の楽曲『バンバン』で感じたような、ボーカルのクライマックスにサックスやトランペットがハマるような感動が、この曲ではそもそも期待できなかったんじゃないかと感じました。
また審査員ハウイの評価についてですが・・・
彼はもともとスタンドアップコメディアンであって、ステージに独りで立った自分がどれだけ観客を「満腹」にさせられるかを常に考えていたのかもしれません。

・・・ハウイが今回のMOSのステージに期待していた「満腹」のイメージは「もっと管楽器の魅力がガツンとくるパフォーマンス」だったのではないでしょうか?
もし彼がコメディアン当時に「俺はこのホールで、金を払って見に来る客たちの『お目当て』になれるのか?」と考えていたとすれば、今回のMOSへの評価として「その芸はラスベガスのステージの『お目当て』になれるのか?」という投げかけをしたとしても不思議ではないのかなと思います。
MOSはAGTで何を手に入れたの?
でも私は今回のMOSのAGTへの挑戦は、得るものがかなり大きかったのではないかと思います。

日本はもちろんですが、世界に対しても広くプロモーションを行うことができましたし、準決勝の舞台に合わせたファッションのコーディネイトや派手なコレオグラフは、それだけでもMOSのメンバーの「ビジュアルな魅力の引き出し」を何倍にも広げたんじゃないかと思います。

・・・みんな個性的で可愛く、しかも超クールでした!
そして「吹奏楽+ダンス」というパフォーマンスそのものが持つ可能性や、そしてこれはネットユーザーからも声があがっていたことですが、「他のアーティストとのコラボレーション」への期待も大きくなったのではないでしょうか。
・・・サイモンの言うような「化学反応」や「相乗効果」は、まずこの「コラボレーション」あたりから始まるのかもしれません。

彼女たちは共通言語の要らない「器楽」「ダンス」をデバイスとして持っていますから、そのコラボレーションの範囲はかなり広いんじゃないかと推測できます。
・・・いつかブルーノ・マーズとのコラボなんかできたらスゴイですね!
・・・個人的にはまず先に、今回のコスチュームでアバンギャルディとのコラボを観てみたいんですが(笑)
・・・ライトブルーのデニムにゴールドの楽器を持つMOSのバックを濃紺の制服のアバンギャルディが固めて、ソロパートには白い袖が超絶シンクロでハイライトを当てるような画面を観てみたい!

MOSの皆様、AGT出場お疲れさまでした!今後の活動も応援しますので、どうか頑張ってくださいね~!
【考察】「ブラスバンド+ダンス」って、どれだけ大変なの?
上半身で管楽器を演奏しながら、下半身ではダンスを行うっていうのは、どれほど難しいことなんでしょうか?
・・・管理人はアコースティックギターしかやったことがなく、管楽器など触ったこともないのでまったくイメージが湧きません。

そこでまず、各管楽器がどれほどの重さなのかを調べて、MOSの4人のサイズと照合してみました。
奏者 | 身長 | 楽器 | 重量(kg) | 備考 |
Erna | 170 | トロンボーン | 1.5 | |
Ami | 156 | アルトサックス | 2.3 | ネックストラップあり |
Lotta | 148 | テナーサックス | 3.6 | ネックストラップあり |
Miyu | 154.5 | トランペット | 1.0 | |
参考 | アコースティックギター | 1.9 | ネックストラップあり |
ちなみにアコギの重量は、普通だいたい1.9~2.0kgくらいらしいんですが、立って演奏するときにはもちろんストラップで肩から吊ってますよね。
・・・条件としてはややサックスに似ているかも。
・・・って、サックスの方がぜんぜん重いじゃないですか!
・・しかもテナーサックスにいたっては、アコギの約2倍!(驚)

ま、普通に考えれば身長148cmのLottaが「軽いアコギ2本分」のアルトサックスを抱えて「吹きながら踊る」っていうのは、体力面だけでも相当キツイんじゃないかと推測できます。
またErnaが言ってましたが、トロンボーンの場合はスライドが他人にぶつかる可能性もあるので、フォーメーションには気を遣うところです。
・・・4人が「等間隔」になりたいときはトロンボーンに必要な距離を「最大公約数」にしなければなりませんし、くっつくときにはその前後の動きに注意が必要です。
またトランペットとトロンボーンは楽器の位置が高く、サックスは楽器の位置が低いので、4人が同じ振り付けでいいというわけでもありません。
たとえば前方へのキックなどはトランペットとトロンボーンには容易でも、サックスにはかなり厳しいですよね。
ひざ元にはどーんと楽器があるわけですから、どうしてもサイドへの動きに偏りがちになると思います。
動きに求められるバラエティーやシンクロニゼイションにも、かなりの制限がありそうです。
さらに私などには想像もつかないのですが・・・動きが激しくなれば、呼吸も増えてくるのが当然じゃないですか?

・・・吹奏楽なんですから演奏に支障が出るような呼吸の状況は、もちろん許されないでしょう。
こうしてみると、重量やら距離やら姿勢やら呼吸やら・・・
いろんな物理的な制限の中でこの「ブラスバンド+ダンス」を行わなければならないことが想像できるかと思います。
【考察おまけ】京都橘高校と比べる声がありますが・・・ダンスだけ比較!
さて楽器を持ってダンスしているといえば有名な京都橘高等学校吹奏楽部のマーチングを思い出した方も多いのではないでしょうか。

・・・実際にネットでも比較や関連性に触れる書き込みがいくつもありました!

ただ同じ吹奏楽とはいえ、かたやプロミュージシャン、かたや学校教育の部活ですから、比較すること自体がナンセンスです。
とくに演奏技術においては雲泥の差でしょう。
またジャンルも人数もまったく異なるので、共通点はあっても相違点がかなり多いようです。
そこで、プロミュージシャンであるMOSには大変申し訳ないのですが、比較してみたい方もいるようですので、両者の「ダンス」だけをちょっと比べてみました。
対象はMOSが今回のAGTの『Bang Bang』、京都橘はトレードマークの『Sing, Sing, Sing』です(かなり活発なステップの動きがありますので)。
まずフォーメーションダンスですが、MOSは現在4人ですから複雑なフォーメーションができるわけではありません。
しかしフォーメーションをどのようにとるか(とらないか)は、メロディそのものや、そのときの演奏が「ハモリなのか」「ユニゾンなのか」「ソロなのか」という「演奏シーン」と強く関連しているように見えます。
つまりMOSのフォーメーションはあくまでも「演奏シーンとのマッチングを優先した結果」なのではないでしょうか。
一方で橘のマーチングは、総勢80人前後のメンバーが計画通りに動くだけでも大変な負担ですが、フォーメーションの変化それ自体が大きな見せ場になります。

そのため隊列の変化の合間には「その場での足踏み」で待機するか、あるいは活発な「ステップのシンクロ」が挿入されて「強いアクセント」になっている、という構成になっています。
さらにフォーメーション以外の「振り付け」だけでも両者にはわりと大きな差があります。
京都橘の振り付けは「下半身のステップ中心の動き」「上半身は体幹をしっかり立てて固定し、動きは最大でも顔を軽くスイングする程度」という特徴があります。
腰を落とす動きは、右ひざを着き左足を斜めにして横に伸ばすポジションの1種類だけかと思います。
これに対してMOSは、まず上半身の動きがかなり大きいという特徴があります。
首を大きく動かして天井に向かって円を描く動きや、楽器を吹くときナチュラルにできる猫背や反身を利用した動きが目立ちます。
また下半身はステップやターンだけでなく、片膝を着いたり腰を落として移動したりしています。

総じて「全身を使った姿勢の高低差」を作る動きがよく見られ、これらは音の高さや大きさとシンクロしている場合が多いようです。
この振り付けの相違点についてダンス大好き、アクロバットも得意な管理人が想像で解説しちゃうんですが・・・
おそらく「見た目の派手さ」や「演奏との一体感」はもちろんなんですが、その裏には楽器のスキルの差が大きく影響しているのではないかと思います。
あくまで素人の考えなんですが、もしかすると顔や頸椎を大きく動かす上半身の振り付けは、アンブシュア(楽器を吹くときの口の形およびその機能)にはマイナスの影響を与えやすい「リスキーな要素」なのではないでしょうか?
ですからMOSのように上半身を頻繁に大きく動かすためには、アンブシュアを安定させるスキルがしっかりしていることが大前提なのだと思います。
そのうえで全身でのダンス表現とうまく分離できること、つまり「動かさない力」と「動かす力」の区別が重要なのではないでしょうか。

これらの点でおそらくMOSのメンバーは、その条件をクリアできる演奏スキルがあるのだと考えられます。
かたや京都橘はまだ高校生ですから、全国のトップクラスとはいっても器楽のキャリアはまだ浅いわけですよね。
すると当然ですが、アンブシュアに影響を与えやすい上半身の振り付けは最小限にとどめ、そのかわり下半身のステップに注力した振り付けを選択することになります。
・・・こんなふうに考えますと、MOSの振り付けというのは器楽のしっかりとした実力のある者が行える、「演奏とのマッチング」を優先した「リスキーな振り付け」だと言えます。
対して京都橘の振り付けは、大人数がそろって動くという困難な課題について「リスクの排除」と「アクセントの強い構成」を両立させるための選択だと言うことができるのではないでしょうか。
・・・どちらも難しいことに挑戦しているんですが、やはりプロは困難でもより見映えを狙ったパフォーマンスに挑戦しているんですね!

最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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